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本年度 Physics lab.2005の実行委員長鎌田耕平からの挨拶でございます。
2005年度 東京大学理学部物理学科五月祭 Physics Lab.2005
実行委員長 鎌田 耕平
「デカルトが虹を数学的に分析しようと思ったのは、虹にどんな特徴があるからだと思う?」
(中略)
「デカルトがその気になったのは、虹を美しいと思ったからだよ」
「ファインマンさん 最後の授業」レナード・ムロディナウ著
メディアファクトリー ISBN4-8401-0897-8 C0098 より
虹を美しいと思い、虹を研究したデカルト。
古来より、自然に魅せられ、自然を美しいと思い、人は様々な自然現象に、様々な角度から、アプローチしてきました。その素朴で深い思いを胸に、私たちは「物理学」という方法をもって、自然にアプローチしています。
物理学は素粒子、原子核といった非常にミクロなスケールから、我々の身近なもの、そして宇宙規模のものまで、様々なスケール、様々な種類の自然現象を対象にしています。
扱っているものはバラエティに富んでいますが、その根底に流れている、自然に魅せられ、自然を理解したいという誰もが一度はもったであろう純粋な思いは、昔も今も、変わらないと信じています。
1905年、スイスの特許局職員だったアルバート=アインシュタインは、「光電効果」「ブラウン運動」「特殊相対論」に関する革命的論文を立て続けに発表しました。
「特殊相対論」はそれに続く「一般相対論」とともに、宇宙規模の物理を説明するのに用いられる理論であり、常識とかけ離れた現象の存在を教えてくれるこの理論を誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。
「光電効果」は光の粒子性を説明し、そこから現在ミクロの世界を説明するのに無くてはならない理論である、量子力学が生まれていきました。
「ブラウン運動」は一つ一つの粒子の運動によって全体の振る舞いがどのようになるのかを説明する統計力学の発展に無くてはならない業績です。
これらの業績一つ一つが物理学の進歩に与えた影響は計り知れません。
それを記念して、今年は「世界物理年」として、世界各地で様々な社会一般の方々へ向けられた科学と技術・物理に関するイベントが行われています。
今年度、私たち理学部物理学科学部学生3,4年有志は、「サイクロトロン」、「物性物理」、「泡」、「宇宙物理」の4つのテーマを選び、半年以上かけて、実験を企画、設計してきました。
「サイクロトロン」は今年3年目となる伝統的な企画です。素粒子・原子核といった非常にミクロな世界を探求する、加速器と呼ばれる装置を自作し、最先端の研究にチャレンジします。
「物性物理」は私たちの生活に近く、意外なところで役に立っている物理を扱う分野です。今年は、「メゾスコピック系」をテーマに、ミクロとマクロの狭間で起こる量子力学を捉えようとしています。
「泡」は、身の回りの興味深い自然現象の中から「泡」を選び、普段何気なく目にするものの意外な、そして興味深い性質を調べます。
「宇宙物理」は去年に引き続き、自作パラボラアンテナを用いて、宇宙からやってくる電波を受信し、遠い世界で起こっている物理現象に思いを馳せます。
私たちは、学部3、4年という今まさに自然に憧れを抱く少年少女から研究者の卵へと変わろうとしている段階にあります。
私たちの今持っている知識はあやふやで、時に間違った考えをしているかもしれません。
そんな私たちが、皆様に物理の世界を紹介することは、荷の重いことであり、日ごろ物理に触れることの少ない方には難しく感じられてしまったり、あるいは専門の方にはなんてつたない説明の仕方をしていることか、と思われてしまうかもしれません。
しかし、今の私たちだからこそできることがあると信じています。
幼い頃抱いた自然への憧れを胸に、その想いを力に変えて。
私たちはこの五月祭での展示・発表を通じて、「世界物理年」の趣旨、社会と科学・技術をつなぐ架け橋の一端を担えることを願ってやみません。
社会のために、科学のために、そして、私たち自身のために。
最後になりましたが、この企画にあたって多大なアドバイスと全面的な援助をいただきました東京大学大学院理学系研究科物理学物理学専攻・理学部物理学科お
よび物理事務の皆様、東京大学大学院理学系研究科付属原子核科学研究センター、実験にあたっての支援をいただきました先生方と研究室の皆様方、ならびに装
置の設計と製作にご助力をいただきました試作室・研材室の皆様に、改めまして深く御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
そして何より、当日にお忙しい中、わざわざ足を運んでいただきましたご来場者の皆様方に、重ねてお礼の意を申し上げたいと思っております。